会社が倒産した時の話(手続き・手当の申請方法)

仕事

「そろそろ景気の良い話がしたい・・・(切実)」

こんにちは、うちゅです。

2019年・2020年とコロナによる経済への打撃が大きく、どちらの年もおおよそ8,000件の会社が倒産に追い込まれたようです。2021年現在も厳しい状況が続いていますね。

斯くいう私も、過去に会社の倒産を経験した内の一人です。

社員として働いていたので、全く予想がつかなかった訳ではありませんでしたが、とにかく会社の立て直しに必死になっていた矢先の出来事で、愕然としたのを覚えています。

そして最近、倒産の手続きを担当していた法律事務所から突然手紙が…。

少しだけ苦い経験が蘇りましたが、もしかしたら今倒産に直面している方は、過去に困っていた私と同じ状況にあるかもしれない。

何か一つでも参考になりますように…と願いながら、自分の経験を備忘録として記したいと思います。

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倒産した時の状況

倒産当日

物販を主に行う中小企業でした。倒産することは当日の朝知らされました。

「今日で会社は終了です」

なんというパワーワード。立ち眩みがする。

以前、予兆を感じて社長に確認をしたこともありましたが、「そんなことは無い!」の一点張りだっただけに、これ正に晴天の霹靂。

後に知りましたが弁護士との約束事で、社員とはいえ当日まで他言することは許されていなかったとのこと。

ただ何故か、その日に限って取引先の人が「社長に会わせろ!」「連絡を取れ!」とやってきました。この人達が何故倒産を察知し当日に来れたのかは未だに謎です。

翌日からは職場の出入りを禁止され、一切の物を持ち出せなくなるので、スタッフに自分の持ち物は全て持ち帰るように指示。

動揺が大きく泣き出す子も。対応に追われバタバタと時間が過ぎ、あっという間に日が暮れました。

社長とは夜にかかってきた電話で話したきり。もう何かを話す心境でもなく「お世話になりました」とだけ伝えて電話を切りました。その後も社長とはお会いしていません。

そして10年以上勤めた職を失いました。


倒産から2日後

全ての連絡は弁護士を通すようにと手紙で指示があり、社長への直接連絡を一切禁止れました。

倒産から2日後、書類を提出するよう指示もあったので、記入の説明も兼ねて近隣で集まれるスタッフには声をかけ会うことに。場所を変えてこれを2個所で行いました。

次の仕事を探し始めた子、地元に帰る子、しばらくは何もしないと決めた子など様々。皆と別れたあと急にどうしようもない淋しさに襲われました。

特に、地元に帰った子達とはその後会えていないので、最後に直接会って話をする機会を設けて本当に良かったなと感じています。

倒産後の手続

未払賃金の立替払請求書の記入と郵送

まず最初に記入した資料がこの未払賃金の立替払請求書です。

未払賃金立替制度とは会社が倒産した時に生じた未払給与の一部を国が替わって支払ってくれる制度の事です。

こちらの書類は倒産の翌日に封書で届いたので請求者として自分の名前や住所、振込先の記入をして返送しました。

この未払金はのちに決定額の通知が届き、その後振込がされました。

書類郵送から振込までは約3カ月半。私の場合金額は、倒産当時の月給のおおよそ1.1か月分でした(手取りではなく総支給額の約1.1カ月分)。

倒産後に社長が行方をくらまし、この書類自体が届かず困っている方もいらっしゃるとのこと。対応は会社によって様々なんですね。

最悪な状況下でも恵まれていたのだということを知りました。

少しでも給与の振り込みがあるのは大変有難かったのですが、期間が3カ月以上かかったので、すぐにお金が振り込まれる訳ではないことは、知っておいた方が良いかもしれません。

  • 未払賃金立替請求書の郵送から約3カ月半後に口座振り込み
  • 金額は給与のおおよそ1.1カ月分だった(手取りではなく総支給額の)

ハローワークでの申請

失業保険の申請と求職申込

倒産から10日後、ハローワークへ失業保険受給の申請と求職の申し込みに行きました。申し込みの際に必要だったものは以下です。

  • 離職証明書
  • 雇用保険被保険者離職票‐1と2
  • マイナンバーカード
  • 証明写真(縦3㎝×横2.5㎝) 2枚
  • 本人の印鑑(スタンプ印不可)
  • 本人名義の預金通帳またはキャッシュカード

*マイナンバーカードが無い場合は①群②群からそれぞれどれか一つずつ必要となります。

①群
  • マイナンバー通知カード
  • 個人番号の記載がある住民票
②群
  • 運転免許証
  • 官公署が発行した身分証明証の写真付き資格証明証の内1種
  • 公的医療保険被保険者証または年金手帳などの内、異なる2種類(コピー不可)

離職証明書雇用保険被保険者離職票‐1と2は会社から送られてきました。

マイナンバーカードは既に作成済だったのですぐ申請ができました。現在はマイナンバーカードの提示機会も増えているので、時間がある時に作っていて損は無いかなと思います。

受給資格の決定がなされるとこの日から7日間経過するまでを「待機」といい、この期間は雇用保険の支給対象になりません。この期間は働かないようにとのこと。

倒産の場合は特別受給資格者と呼ばれ、この待機期間7日のみで次に進みます。(自己都合などで退職した場合は、7日間の待機期間満了の翌日より3カ月間は給付制限となり、この期間基本手当は支給されません)

雇用保険の失業等給付受給資格者のしおりを貰い、雇用保険説明会の日程が告げられ、決められた日の説明会に参加することになりました。


雇用保険説明会

私の場合は失業保険申請から16日後が雇用保険説明会でした。

持参したものは以下の2つです。しおりには持参するものが沢山記載されているのですが、私の時は以下の2点のみ持参するよう指示がありました。

  • 受給資格のしおり
  • 筆記用具

この説明会では、失業認定のためにやるべきこと・やってはいけないことなどの説明を受けました。

雇用保険説明会に万が一参加できない時は事前連絡が必要だそうです。ドタキャンはNG。

雇用保険説明会に参加し、雇用保険受給資格者証失業認定申告書が発行されました。


失業認定日

初回の失業認定日は雇用保険説明会で知らされます。持参したものは以下です。

  • 雇用保険受給資格者証
  • 失業認定申告書

そして特殊な認定日カレンダーというものを貰い、決められた自分の認定日(4週間に1回)に就職活動の状況説明と失業認定を受けることになります。

この失業認定では毎回、失業認定申告書の記入と提出が求められます。失業認定申告書には

  • 失業認定を受けようとする期間中に就職・就労または内職・手伝いをしたか
  • 求職活動は行ったか
  • 公共職業安定所などから適した仕事を紹介されれば応じられるか

などの記入をしました。

実際には働いて給与を貰ったのに貰っていないなど偽りの申告をすると、不正受給として処分されるので絶対にやめておきましょう

認定が無事受けられれば失業保険が振り込まれます。私の場合は認定日からだいたい2日後の振り込みでした。

初回の振り込み額は退職時の給与(手取りでは無く総支給)の約4割程度。その次からは約6割程度が振り込まれました。

*失業保険を受けられる期間や金額は、勤続年数や退職時の給与などで決まります。ご自分の給付日数や金額はお住まいの地域のハローワークにてご確認ください。

  • 失業手当は失業認定日から2日後に振り込まれることが多かった。
  • 失業手当の金額は初回が退職時給与(総支給)の約4割程度。その次からが約6割程度だった。

国民健康保険料の軽減申請

倒産後は社会保険が自動的に消失してしまうので、社会保険に加入していた人は国民健康保険の加入手続きが必要になるとのこと。

会社が倒産してしまった私は失業保険の特定受給資格者となり、申請すれば国民健康保険額が軽減されると説明を受けました。

  • 軽減額は前年の給与所得を30/100とみなして保険料の算定が行われる。
  • 軽減期間は離職日の翌日の属する月から翌年度末まで。
  • 国民健康保険に加入中は、途中で就職しても引き続き軽減対象となるが会社の社会保険に加入するなど、国民健康保険を脱退すると終了。

社会保険は会社が半分出してくれますが、国民健康保険は全額自分負担。就職がいつになるか不安だったのでなるべく出費を抑えたいと思い、こちらは申請をすることにしました。

手続きに持参したものは以下です。

  • 健康保険、厚生年金保険喪失連絡票
  • 年金手帳
  • 印鑑
  • 雇用保険受給資格者証

健康保険・厚生年金保険喪失連絡票は会社から送られてきました。

収入の減少や失業などにより国民年金を納めることが難しい場合には、保険料の一部または全額免除の制度もありますので、状況によって活用されても良いと思います。

ただしこちらは、将来受け取れる老齢基礎年金額が少なくなるので一時的に免除申請を行い、就職して余裕ができたら追納することをおすすめします。

無職の期間と就職活動

前職は勤務時間が毎日10時間、通勤は往復で3時間、6~7連勤は当たり前という生活。出張も多く中々の激務でした。10年以上勤務して有給を使えたことは一度もありません。

仕事自体嫌いではなかったので頑張れていたのですが、突然この忙しい生活から一変してしまい心が空っぽになりました。自分に対して休息が必要だと思ったのはこの時が初めてかもしれません。

手続き諸々を終わらせた後の2か月程は求職活動も最低限にし、映画やYouTubeを見漁ったり部屋の中の断捨離をしたり。時々襲ってくる虚無感と付き合いながら、心の休息を心がけました。

同じ職場だった仲の良い先輩とも、この時期に沢山出掛け旅行にも行きました。同じ境遇の方がいることはとても心強かったです。

その後、両親にも電話で状況を説明し「帰るね」と伝えて実家へ帰省しました。

父は全て引き上げて実家に戻ってくると思った様で、生活に困らないようにと衣類用のハンガーなどを購入し準備してくれていました。

数日だけ帰る予定だったのですが、両親の優しい気遣いに救われる場面が本当に多く、おかげでこの苦境を乗り越えることができました。とても感謝しています。

そして倒産から3カ月が経った頃から本格的に求職活動を始め、2社の面接を経て採用が決まり、次の仕事を始めることになりました。

仕事が決まったら行う手続き

就職が決まってからも私の場合は2つの給付を受ける事が出来たので、そちらの内容についてお話します。

就職の届け出

仕事(使用期間・研修期間・アルバイト・パートを含む)が決まったら、原則として仕事を開始する日の前日にハローワークへ出向き就職の届け出を行います。

この日までの失業認定も受けるので、最後の失業手当が日数分振り込まれます。

就職の届け出に必要なものは以下でした。

  • 雇用保険受給資格者証
  • 失業保険申告書
  • 採用証明証       

採用証明証は失業等給付受給資格者のしおりの最後に綴じてありました。こちらは就職先に提出して記入してもらわなければなりません。

この証明証を仕事開始日の前日までに用意し手続きをするのですが、もし前日にハローワークへ行けない場合は雇用保険給付担当窓口にて相談するようにとのこと。

就職先の本部が遠方にあり、採用証明証の記載に時間がかかりそうな時も相談した方が良いと思います。

この届出を行わないと、次に記載する再就職手当の申請が出来なくなるので必ず行ってくださいね。


再就職手当

再就職手当とは失業手当の所定給付日数の3分の1以上の給付日数を残して安定した職業に就き、支給要件を全て満たした場合に支給を受けることができます。

申請期限は就職日の翌日から1か月以内です。ハローワークにて申請します。

支給要件は以下です。

  1. 就職日の前日までの失業認定を受けた後の基本手当の支給残日数が、所定の給付日数の3分の1以上あること。
  2. 1年を超えて勤務することが確実であると認められること。
  3. 待機満了日後の就職であること。
  4. 離職理由による給付宣言を受けた場合は待機満了日後1か月間については、ハローワークまたは許可・届け出のある職業紹介事業者等の紹介により就職したものであること。
  5. 離職前の事業主に再び雇用されたものでないこと。
  6. 就職日の前日から3年以内の就職について、再就職手当又は常用就職したく手当の支給を受けていないこと。
  7. 受給資格決定(求職申し込み)前から採用が内定していた事業主に雇用されたものでないこと。
  8. 原則、雇用保険の被保険者要件を満たす条件での雇用であること。

要件の項目多いですよね。私の場合、全ての要件に当てはまりました。

一番気になっていたのが項目の4で、ハローワーク紹介の仕事でないとダメなのかと思っていましたが、仕事を決めたのが3カ月後だったので自分で見つけた仕事でも大丈夫でした。

また、正社員スタートではなくとも大丈夫なようです。勤務日数や時間数など細かい規定については是非ハローワークへご確認ください。

手続きに必要なものは以下でした。

  • 再就職手当支給申請書(就職先の事業主の証明が必要となります)
  • 雇用保険受給資格者証     

給付額は

  • 所定給付日数の3分の1以上残して就職した場合・・・支給残日数の60%
  • 所定給付日数の3分の2以上残して就職した場合・・・支給残日数の70%

となります。例えば

1日の失業手当が5,000円で所定の給付日数が90日だった人の場合
  • 支給残日数30日以上(3分の1以上)の場合・・・5,000円×支給残日数×60%
  • 支給残日数60日以上(3分の2以上)の場合・・・5,000円×支給残日数×70%

が再就職手当でもらえる金額となります。

私の場合は240日の所定給付日数で支給残日数が約140日だったので60%の支給率でした。給付日数が長かったので給付率60%でもかなりまとまったお金を頂くことができ本当に助かりました。

手当は就職の申請から約1カ月後に振り込まれていました。

早く就職することを応援する制度なので、就職が早いほど給付率も高くなります。かといって慌てて仕事を決めて後悔するのは本末転倒なので、この後の生活の為にも支給日数を3分の1以上残しての就職を目指したいですね。

  • 再就職手当の申請期限は就職日の翌日から1か月以内。
  • 申請から振込までは約1か月だった。

就業促進定着手当

再就職先で6か月働いたあとにはもう一つ貰える可能性のある手当があります。それは就業促進定着手当です。ただしこちらにも要件があります。

就業促進定着手当の支給要件は以下です。

  1. 再就職手当の支給を受けていること。
  2. 再就職手当の支給を受けた再就職の日から、同じ事業主に引き続き6か月以上雇用されていること。
  3. 再就職手当の支給を受けた再就職の日から6か月間に支払われた賃金額の1日分の額が離職前の賃金日額を下回ること。

こちらの手当は給与が下がった場合にだけ支払われるもので、あまり喜ばしいものではありません。

私は前職が管理職だったこともあり就職後の給与が少し下がったので、6か月の勤務を経てこちらの手当を申請しました。申請後約1か月で振り込まれました。

申請期限は就職日から6か月経過した日の翌日から2か月以内です。新しい仕事についてから6か月後の申請となるので、私は携帯のリマインダーを活用して申請忘れを防ぎました。

  • 就業促進定着手当の申請期限は就職日から6か月経過した日の翌日から2か月以内。
  • 申請から振込までは約1か月だった。
  • 申請忘れ防止の為、携帯のリマインダー等の活用を。

まとめ

倒産したのはもう数年前の出来事ですが、最近になって法律事務所より手紙が届きました。内容は財団債権の按分弁済を実施するとの内容。

要は、「倒産時の財産から債権者へ少しお金を分配することができそうですよ」というものです。

こういう事例があるということは知ってはいましたが、まさか数年経って本当に連絡が来るとは思わずびっくりしました。

倒産自体はとても辛い経験でしたが、ハローワークの方々も親身になって対応してくださいましたし、想像していたよりも手厚い保証があるのだなと感じました。

そしてなにより周りにいる人達の優しさを知ることができ、得られたものも多かったです。

これからの社会は、今まで以上に会社組織だけに頼らない生き方が求められていく気がしています。その為の行動を一つずつ。

今後はその内容についても記事にして、同じような考えのみなさんと共有出来たらと思っています。

ここまでお読みいただきありがとうございました。

うちゅ😺

*この記事の内容は数年前の体験談を書き起こしたものです。手続きの方法や必要書類等は変更になっている可能性がありますので、お近くのハローワークにて確認をお願い致します。

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